改めて私達土井縫工所提案しますシャツ選びのサイズ・襟・カフスのこだわりについて書こうと思います。

 

ドレスシャツ(ビジネスシャツ)へのこだわり

土井縫工所が考えるドレスシャツについてのあるべき姿

ビジネスシーンでのドレスコード(TPOにあわせた服装規定)として、理想的なスタイルは“気品ある優雅な服装”ではないでしょうか。
つまり、一見して相手に好印象を与える服装だといえます。

具体的には下記のような要素で構成されます。

・清潔感が漂っていて、安心感を与える。
・身体にフィットしていて、スマートな印象を与える。
・華美ではなく、清楚な上品さを感じさせる。
・全体の色彩バランスが整っていて気品を漂わせる。

 

これらの要素を実現するために、以下のこだわりを持ってシャツ作りに取り組んでいます。

・65年間に渡り職人に受け継がれた確かな縫製技術とパターン

シャツ専業で65年間培ってきた縫製技術と、膨大なパターンデータをベースに日々シャツを縫っています。

 

・日本人に最適な完成されたパターン

『土井縫工所』のパターンは、”「世界で活躍する日本のビジネスマン」のためのドレスシャツ “をコンセプトに、 クリエイティブディレクターの清水敏光がパターンオーダーシャツの膨大なデータを更に分析し、現代のスーツトレンドを取り入れて作ったパターンです。

1.オフセットパターン

衿羽根:裏表のパターンをオフセットすることにより、衿羽根部の返りが良くネクタイの通りをスムーズにさせます。
衿台:同様に裏表のパターンをオフセットすることにより、内側のしわが少なく自然に首を包み込み着用時のストレスを軽減させます。
カフス:内側のしわが少なく自然に手首を包み込むように設計。

2.カーブカフス

ジャッケットの袖口傾斜に合わせたカーブカフスを採用。
これによりジャケットの袖口からカフスを平行に見せます。また、釦を留めると円錐状の形状になるため、程よく手首を包み込みます。

3.袖付け

袖山を高くさせることで袖巾が狭くなり前脇部分をカットされることで、オフセットスリーブと同様の機能とシルエットを生み出しました。

4.袖口の3本タック

袖口のタックを三箇所で均等に取ることにより、バランスの良いきれいな袖落ちを実現させました。

5.アームホール

ジャケットのアームホールに合わせカマ深の位置を上げる( a → A )だけでなく、腕の動きに適した機能的な袖型を採用。
ジャケット着用時の脇部分に違和感を感じさせない着心地を実現させました。

・縫製について

1.本縫であること

高温多湿の日本ではインナーに肌着を着る人もいますが、素肌で着ることが基本のドレスシャツ。 肌に触れる違和感を極力無くすため、袖付部や脇巻部裏の縫代を出来る限り細く(3~4㎜)するために本縫仕様を採用しています。 しかも3cm間に21~23針の程良い運針。 見た目にもエレガントな縫製です。

2.スプリットヨークであること

肩の丸みにフィットするよう、肩から背中にかけて切り替えてある部分を「ヨーク」と呼んでいます。 このフィット感を更に高めるために、ヨークを背中心で バイアスに切り替えた「スプリットヨーク」を採用しています。 特にストライプ柄はバックスタイルを、よりエレガントに表現します。

3.ガゼットが付いていること

決して飾りや無駄なパーツではありません。 前身頃の前立裾を美しく仕上げるため、先に前身の裾巻(三巻)を3㎜で細く縫って前立を袋縫いに仕立ます。 次に前身と後身を縫い合わせ、最後に左右の裾の縫い合わせ部を包み隠し、補強するために必要なパーツです。

4.カーブカフスであること

衿と同様にドレスシャツの重要な顔になる部分。 単に袖口を止めるという役割だけではなく、ジャケットの袖口を汚さないために、袖口と平行に1~1.5㎝出して着ることが基本です。 釦を留めると円錐状になり、程良い位置で手首を包み込んでくれます。

5.コンバーティブルカフスであること

コンバーティブルとは変換可能の意味で、釦留めとカフリンクスも出来るように釦穴を両サイドに切ってあるシングルカフスのことです。 特にフォーマルなシーンでのカフリンクスはドレスコードの必須アイテム。 カフリンクスをした時に裏側に釦が覗いては、折角のお洒落も台無しです。 釦を裏側に返して見えないように、わざと釦を裏に付けて糸の長さを調整しています。 *Entry Line(オススメシャツ)、Custom Order(カスタムシャツ)、Ready Made(既製シャツ)のボタンダウンカラーには採用していません。

6.釦が根巻であること

衿台とカフスには芯地が入り厚くなるため、釦が留めにくい場合があります。 釦を少し浮かせて留めやすくするため、衿台とカフスの釦付けは根巻仕様にしてあります。 ※ボタンダウンの釦も、もちろん根巻仕様です。

7.ポケットが無いこと

シャツの起源が下着であるという観点から、基本的にドレスシャツにはポケットを付けないのが原則です。 しかし、現在日本のビジネス用シャツには、あると便利という理由で付いてあるものが殆んどですが、上着を着ることが前提のドレスシャツのポケットに、物を入れれば上着に響くので、あっても使わない方が格好いいというのが理由です。
※ Ready Made(既製シャツ)のボタンダウンにはオフタイムに着用できる汎用性があるので標準装備しました。
Entry Line / Custom Order / Made to Measureではポケット有無をお選びいただけます。

8.白蝶貝釦であること

ドレスシャツ用のボタンの材質には、ポリエステル・高瀬貝・白蝶貝が使われます。

中でも白蝶貝は貝ボタンに用いられる中で最高級の素材です。「マザーオブパール」と呼ばれ、真珠を作る母貝でもあるのです。

深みのある光沢、滑らかで上品な質感は他に類を見ない素晴らしさです。

そのため古くからROLEX等、高級時計の文地盤や高級装飾品に利用され、宝石と同じく大切にされております。

土井縫工所では、古くから貝釦づくりを地場産業としている奈良県の、数ある釦製作所のなかでも、伝統の技術とセンスを兼ね備えた“阪本才治商店”にオリジナル釦の製作を依頼。 ドレスシャツ用の気品と風合いのあるオリジナル釦を作りました。

白蝶貝についてはこちらに詳しく掲載しています。

http://www.doihks.jp/brand/button.html

 

裄丈とカフスサイズの重要性

土井縫工所が裄丈の調整だけでなく、カフス廻りの調整までを行っている理由

裄丈を測る時、土井縫工所では親指の付け根まで測っていただくことをお客さまへ推奨しています。 お客さまによっては「それでは長すぎるのでは?手首まで(または手首+1cm程度)でいいのでは?」とご質問をいただきますが、これは単に長く取っている訳では無く、シャツメーカーとして提唱させていただく理由があります。それは、洗濯した際の縮み(生地の収縮)も考慮しておりますが、一番の理由は着用時の運動量の確保です。この運動量を決定するのは、腕を動かす際の必要なゆとりが袖の長さに考慮されているかどうかです。一見、袖が長いとカフスが手の甲にずり下がりシルエットが損なわれるように思われますが、カフス廻りを適切なサイズに指定することでカフスが手の甲にずり下がることを防ぐだけでなく、そこに生まれる袖のゆとり量が運動量となり、着やすくて動きやすいシャツとなるためです。

(例1)裄丈を実寸(手首まで)値、カフス廻りが適切なサイズ

着用時のシルエットは一見、整っているように見えますが袖部分の運動量がないため、腕を動かす際にカフスが引っかかり腕の動きが制限されることになり、結果、動きにくいシャツになります。

(例2)裄丈を実寸(手首まで)値、カフス廻りが一回り大きなサイズ

(例1)での腕の動きが制限されることはカフス廻りを大きくしたことで引っかかりは解消されますが、 カフス廻りが大きいため、結果、見た目が美しくない(カフスがぶかぶか)シャツになります。

(例3)裄丈を実寸+運動量(親指の付け根)値、カフス廻りが一回り大きなサイズ

こちらも(例1)での腕の動きが制限されることは裄丈に運動量がプラスされているため解消されますが、カフス廻りが大きいためにカフスが手の甲にずり下がり、(例2)以上に着用時のシルエットが損なわれるシャツになります。

採寸方法

ヌードサイズの場合の採寸方法

ネック

採寸方法(ネック1)
採寸方法(ネック1)

1.のどボトケのやや下あたりで首周りを測ります。

採寸方法(ネック2)
      • 【ゆとり量の目安:2~3cm】
      • ※例1:実寸38cmの場合、ネックサイズは40cmが最適値ですが、ゆったり目ならば41でも大丈夫です。

    (39は窮屈になるためお薦めできません)

  • ※例2:実寸36.5cmの場合、ネックサイズは39cmが最適値となります。
  • ※ネックサイズの数値は整数表示ですが、洗濯などの縮みを考慮し、上がり寸は+0.5cmです。

肩幅

採寸方法(裄丈1)
採寸方法(裄丈1)

1.腕と肩の境目※の部分から

採寸方法(裄丈2)

2.肩に沿うようにメジャーを当て

採寸方法(裄丈3)

3.逆の境目までを採寸して下さい。

  • 【ゆとり量は必要ありません】
  • ※腕と肩の境目……肩の付け根部分を指で押した際、骨が出っ張っている箇所です。

裄丈

採寸方法(裄丈1)
採寸方法(裄丈1)

1.首の付け根の背中心から

採寸方法(裄丈2)

2.肩先を通り

採寸方法(裄丈3)

3.腕に沿うようにメジャーを当て

採寸方法(裄丈4)

4.親指の付け根までがお薦めの裄丈サイズです。

  • ※裄丈はドレスシャツにとって、ネックサイズと同様に大事なポイントです。
    ジャケットの袖口から1cm程度出るのが格好良く、汚れを防ぐ役目も果たします。
    少し長く感じられますが、洗濯の縮みや着用時の運動量やシワを想定しています。
  • ※気になる場合はカフスのボタンを少し内側に付け直し、手首で止まるように調整することをお薦めします。

ボディサイズ

採寸方法(バスト)
採寸方法(バスト)

1.バストは脇のやや下の箇所から1周測ります。

採寸方法(ウエスト)

2.ウエストはへそのやや上の箇所から1周測ります。

採寸方法(ヒップ)

3.ヒップは一番出ている箇所から測ります。

    • 【ゆとり量の目安:バスト…15cm(お好みにより-2cm~+3cm) ウエスト…10cm(お好みにより-2cm~+3cm) ヒップ…15cm(お好みにより-2cm~+3cm)】

程よいゆとりがお好みの方は、レギュラータイプの「クラシックモデル」がお薦めです。
タイト目がお好みの方は、スリムタイプの「ダーツモデル」がお薦めです。

  • ※測る際には、メジャーをあまり絞り込みすぎず適度なゆとりを持って
    出来るだけ地面と平行になることを意識しながら採寸してください。
  • ※ゆとり量の目安は、あくまでも一般的な数値です。

カフス周り

採寸方法(カフス周り1)
採寸方法(カフス周り1)

1.左右の手首周り(骨の辺りから)を測ります。

採寸方法(カフス周り2)
  • 【ゆとり量の目安:7cm】
  • ※参考:時計をされる場合は、手首の実寸+7cm+1cm(計+8cm)されると収まりが良くなります。
  • ※カフス周りを大きくし過ぎると、カフスが指の方へ落ちますのでご注意下さい。

着丈

採寸方法(着丈1)
採寸方法(着丈1)

1.首の付け根の背中心から

採寸方法(着丈2)

2.背中に沿うようにメジャーを当て

採寸方法(着丈3)

3.股までの位置を測ります。

    • 【ゆとり量の目安:5cm(シャツの裾をパンツに入れてご着用される場合)】
    • ※実寸75cmの場合、シャツのサイズは80cmをお勧めします。
    • ※参考:(身長-24cm)÷2+5~8cmがドレスシャツの着丈のおおよその目安です。

シャツサイズの場合の採寸方法

ネック

採寸方法(ネック1)

ボタン付け糸から ボタンホールの中心までを測ります。

採寸方法(ネック1)

肩幅

採寸方法(裄丈1)

袖の付け根から測ります。
採寸したサイズ÷2が、次にご説明致します裄丈採寸に必要となる背中心になります。

採寸方法(裄丈1)

裄丈

採寸方法(裄丈1)

首の付け根の背中心からカフスの先端までを測ります。
左右で裄丈が異なる方がいらっしゃいますので左右とも採寸して下さい。

採寸方法(裄丈1)

ボディサイズ

採寸方法(バスト)

チェスト:脇の下から一直線に測り、そのサイズ×2がチェストサイズになります。

採寸方法(バスト)

ウエスト:台衿ボタンから5番目のボタンと6番目のボタンの間から一直線に測り、そのサイズ×2がウエストサイズになります。
※チェスト、ウエストの採寸について
背中にタックがございましたら、タックを広げて採寸して下さい。

採寸方法(バスト)

ヒップ:ピース位置からピース位置までを一直線に測り、そのサイズ×2がヒップサイズになります。
※チェスト、ウエスト、ヒップの採寸について
背中にタックがございましたら、タックを広げて採寸して下さい。

着丈

採寸方法(カフス周り1)

背中心(衿越の下) から裾までを一直線に測ります。

カフス廻り

採寸方法(着丈1)

カフスの端から端までを、カーブに沿って一直線に測ります。 左右でカフス廻りが異なる方がいらっしゃいますので、左右とも採寸して下さい。

採寸方法(着丈1)

如何でしたでしょうか?

土井縫工所のシャツに限らず、一般的なシャツのサイズ選びにも活用頂けると思いますので、
是非御参考下さい。

土井縫工所の重要視しております、「裄丈」・「カフス廻り」を調整できる商品、「Entry Line」の商品一覧を下記よりご覧いただけます。
宜しければご覧ください。

長文にお付き合いいただきまして、有難うございました。