カフスは北方系衣服に特有のものです。

服飾においてその発生は、袖がタイトになった中世紀に
端を折り返したことにあります。
当初は保温のため、婦人服のコートで良く見受けられる様に
毛皮のカフスが多く用いられた様です。
その後、男子服や上層階級では装飾要素が強くなり、
シャツにもレースや亜麻の装飾的なものが施されるようになりました。

16世紀、ひだ襟ラフruffの登場とともに、
近世以降はこの傾向が明確になり、
豪華なレース・カフの流行をうみ、
イタリアやフランドルのレース産業を発展させました。

17世紀に基本的な男子服となった膝丈(ひざたけ)のコートでは、
折り返ったカフは装飾として重要な意義をもち、
近代まで不可欠のものとなり同期のシャツには、
ラッフル(ひだ飾り)やレースのカフになりました。
肘(ひじ)丈になった婦人服の袖口にはとくにたいせつな装飾となり
このような近世のカフスは労働に携わらない上層階級や
貴族のシンボルになりました。

フランス革命を境としてこの傾向は廃れ、
通常の男子の表着からは姿を消し、フロックコートやモーニングコート、
背広の袖口の飾りボタンフロックコートやモーニングコート、
背広の袖口の飾りボタンとして名残をとどめるに過ぎません。

今日ではシャツやブラウス、婦人服に装飾として用いられていますが、
単純な物になっています。
この様に、カフスと言うと最近ではシャツというイメージですが
本来は防寒(コート)から装飾(フォーマル)と実用的な事から
見た目の良い物になり、シャツのカフスも装飾系から簡素化されて
現代の物に変っていたと思われます。